森部古戦場


 西美濃侵攻を目論んでいた若き日の織田信長が、永禄4年(1561年)に斎藤龍興の軍勢と戦ったのが当時の森部村、現在の安八郡安八町にある森部一帯である。信長がわずか1500の手勢で何倍もの敵を打ち破ったのは、当時勘当中にもかかわらず帰参を求めて勝手に参戦した前田利家の奮戦があったからに他ならない。当時美濃国で猛将として知られた足立六兵衛を討ち取った功により、利家はこの戦で帰参を認められ、後に加賀百万石の太守となるのである。
 さてこの森部古戦場だが、安八町の長良川右岸堤防下に薬師堂と出世の松がある。薬師堂には合戦の犠牲者が祀られており、また合戦後には薬師堂の前で首実検が行われたという。森部合戦で討ち死にした斎藤家侍大将の日比野景直の墓もあり、景直の名を記した幟まで立っている。出世の松は信長が首実検の際に近くの松に鎧を掛けたという伝承に基づき、NHK大河ドラマ「利家とまつ」放映を記念して植樹された松である。上の写真がその出世の松であるが、松は堤防下に植えてあり、堤防上は交通量が多く速度の出る道路になっているため気づかれにくい。薬師堂もすぐ近くにあるが、こちらは集落の中に溶け込んでおり鄙びた佇まいを見せている。

薬師堂。規模は小さいものの、
地域の人々によってしっかりと管理されている。
合戦で討ち死にした斎藤家・日比野景直の墓。
幟も立ってアピール度抜群。

INFO

所在地:岐阜県安八郡安八町森部下河原2831
入場料:無料
最寄り駅:東海道新幹線 岐阜羽島駅 または 名鉄竹鼻線 新羽島駅
       (両駅から2km以上あるので徒歩ではお勧めしません)


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